昨日(2014/12/21)は復帰(再開かな)2回目の地ハイ。集合場所は西武線元加治駅前、そこには50人ほどの参加者が集まっていました。その中に見知った顔が何人も、(皆それなりに歳とって)、それらの人から、声かけられました「何十年ぶり?」、ハグしてくる人も。案内の先生たちも懐かしい。同様に歓迎の声を掛けられました。なお、復帰1回目は
妙義山でした。もちろん何十年ぶりではありませんよ。
コースは先ず1991年に発見され、同年と翌1992年に調査が行われたアケボノゾウ足跡化石の発掘跡付近からメタセコイヤの化石林で知られる笹井ダム(堰)まで、直線距離は4~5Kmだが、時間は9時半から15時過ぎまで、昼食時間を除くと5時間ほどの行動時間でした。
アケボノゾウとは250万年前~70万年前に日本にいたゾウの仲間で日本でのみ発見されている固有種です。全身骨格標本レプリカや骨格に肉付けし生きていた姿を復元した像が狭山市博物館に展示されています。
余談ですが、半年ほど前に7歳の孫を連れて見に行ったことがあります。孫は全く興味を示しませんでした。
下の写真は「埼玉自然の博物館」に展示されているアケボノゾウ骨格レプリカ
さて、第一見学ポイントの発掘現場は1992年に地ハイで見学しています。それから12年経過しているので川の浸食や川砂の堆積、植生に覆われるなどで発掘跡は見られないものと思っていました。ましてや、足跡を発見するのは無理だと思っていました。以下の写真はスマホで撮影したものです。
ところが、それらしき跡があるではありませんか。落ち葉や表面の土を剥ぎ取ると円形の模様が現れました。周りが黒っぽい泥であるのに丸い所は火山灰質です。しかし、これだけでは足跡とは言い切れませんが、泥地に丸く窪んだ所ができ、そこに火山灰が詰まって出来た模様であることは確かです。
川の浅瀬に入ってみました。そのための長靴ですから。川底にも同様の円形の模様がありました。丸いところは火山灰でしょう。
材化石もありました。取り出した見ると木片であることがわかります。黒く炭化しています。
少し下流に浸食され地質の断面がみられる箇所がありました。
下の写真の中央の窪んだところに火山灰があることがわかります。その下の泥層が圧縮されていることから、この窪みは浸食で出来た穴ではなく、上から重いもので押しつぶされて出来た穴だと思えます。重いものがゾウかどうかはわかりません。
さらに下流に行くと砂層やシルト層が露出していました。貝化石を多く含んだ地層との説明です。化石の貝は関東平野西縁丘陵団体研究グループの調査によると砂泥底に生息するマガキなどの貝だということです。
二枚貝らしきものを見つけました。殻は融けてしまっていましたが形はわかります。
アケボノゾウの足跡が発見された地層は「仏子層」と呼ばれています。この地層は東に向かってゆるく傾いています。入間川は西方向が上流、東方向が下流です。川の傾斜は僅かで水平に近いものです。したがって、下流に行くと云うことは、地層の上部を見に行くことになります。
上記の貝化石層の新しい露頭からさらに下流の対岸に蛇糞石の見られる地層がありますが、前日の雨で水かさが増し見学を断念しました。
昼食を入間市の文化創造施設「アミーゴ」の広場で摂りました。
この施設は、富岡製糸場ほど古くはありませんが、大正5年に後の埼玉県繊維工業試験場となる仏子模範工場が地域の繊維業者によって建てられたものです。大正、昭和、平成と三つの時代を経て、平成10年に閉じられました。残されたのは堅牢な骨組みの5棟の木造建物で、まだまだ活躍できることから「文化創造アトリエ AMIGO!」として活かされています。
さらに下流に古くから知られた牛沢の貝化石層がありますが、崩壊の危険があるため採取が禁止されており、遠くから眺めるだけでパス。
さらに下流の笹井ダムに向かいました。ダムと呼ばれていますが農業用水の取水堰にすぎません。
ここは、野鳥の絶好の観察場所で、野鳥の会が定期的に観測している場所です。私も冬場にはダム湖面で水鳥を観察したり、葦林や樹林で小鳥を観察します。特に冬は渡り鳥の観察に絶好の場所です。
この堰の下流の中州に笹井の化石林があります。といっても、現在は中洲は植生に覆われヤブの状態で簡単に入れるものではありません。化石林は1974年9月に台風による洪水が発生し砂利が流出し発見されました。
1980年の調査では23株の化石林が確認されました。幾つかの株は博物館や地元の資料館に保存されています。
なお、狭山市博物館に展示されているアケボノゾウ骨格標本レプリカは、この直ぐ近くで笹井化石林調査グループにより発掘されたものです。
さて、その中洲に入りました。ヤブこぎで進み、なんとか中洲の縁に下りることが出来ました。亜炭層のなかに材化石がありました。この材化石は戦前は燃料として珍重されたそうです。そのために株化石も相当数が掘られたものと思われます。
その先に樹の株が見えました。近寄り観察すると直径は1m以上、周囲が4m以上はあります。根元は水面下にあり、さらに大きいものと思われます。
この樹はメタセコイヤであることが調べられています。絶滅したと思われていましたが中国で発見されたことで有名です。
さて、この付近で種実化石が見つかるに違いないと思い、さきほどの亜炭層を調べるとありました。メタセコイヤの種実です。本来は球形ですが地層で押しつぶされ扁平に、左は直径1cm、右は扁平度が弱く厚みがあり直径8mmほどです。下の写真は帰宅後に撮ったものです。
この種実化石は乾燥すると茶褐色になります。これも良い燃料となります。小さな豆炭というところかな。
参加者が亜炭層で種実化石や昆虫化石を探してる様子です。昆虫化石を見つけるのは至難で、見つかりませんでした。
観察地について(入間市HPの加治丘陵の説明ページの図に矢印を記載)
アケボノゾウ足跡の発掘の様子や貝や植物の化石、蛇糞石については、埼玉県立自然の博物館の
企画展「入間川の自然」レポートに記載があります。ここには現世の動植物についてや上流部や下流部の自然についても記載されています。
今回の地ハイの冊子と地質概要を載せます。
参考図書の「アケボノゾウの足跡」です。
以下は上記図書より